美しいオメガのアンティーク時計…。
ケースはプラチナ、暗闇でも強烈に光る上質なダイヤモンドがあしらわれた、何とも魅力的なお品です。
然しこちらは訳ありオメガでございました。
ダイヤモンドの質やデザインの傾向、そして使われている素材を見る限り、素人の私であっても、
「なんだか妙に安いな…。」
と思う価格帯でして、
安いものには訳がある。その訳がわからない限り絶対に手出ししてはならない。
という自分なりの信念のもと、何日も何日も商品ページと睨めっこをしては、うわ言のようにこの時計の話を口にするのでありました。
ある日、整備に出していた時計が出来上がったとの連絡が入り時計修理店に赴きまして、ついでにこちらのオメガについてもお話を伺ってみることに致しました。
「こういう時計って見た事ありますか?」
私はそのオメガが、
・アールデコ調のケースだが、文字盤がアールデコの時代ではないデザインである事
・ムーブメントも比較的新しく、アールデコの時代とは合わないこと
・そして業者が販売している割には妙に安いこと
このような点に違和感を感じている事も併せて伝えました。
するとこういうお話をしてくださいました。
「ああ、これは日本で作られたケースかもね?」
私は驚きました。
「僕の父親の時代は関税がかからないように、メーカーからムーブメントだけ仕入れて、ケースは飾り職人に作らせて販売するのが普通だったんですよ。裏蓋にpm900とあるでしょ?これは1960年頃に日本で作られたって事になりますね。」
私はそれを伺ってから、インターネットで調べられる事は全て調べて答え合わせをし、成る程そういう事かと改めて納得をしました。
納得をしてからは全力で問い合わせます。
販売店へ電話を掛け、様々な事を訊ねました。
こちらの時計を販売していたのは、遠方のリサイクルショップでした。
どちらかといえば現行品の高級時計や、ルイヴィトンなどのハンドバッグを得意としている雰囲気のお店で、アンティークのカクテルウォッチの取り扱いは殆どなく、要はアンティーク時計専門店ではないお店でした。
はやる気持ちを抑えながら、ムーブメントの状態や、使用されているダイヤモンドのカットやクオリティーについて細かく訊ねます。
すると、親切な男性スタッフはルーペ越しの写真を撮影して送ってくださいました。
おお…これは…!
ダイヤモンドは肉眼で綺麗に見えるのか?と言う旨を訊ねると、
「かなりキラキラした感じで綺麗ですよ。」
との事でした。
私は念の為にこのように言いました。
「その時計のダイヤモンド部分、裏側から撮影したものを頂けますか?」
すると、直ぐに写真を送って下さいました。
これは…!!!
そうです、光穴がめっちゃくちゃに汚れているかどうかを知りたかったのです。
光穴に汚れが詰まっているのに表側からみたら綺麗なダイヤ、であれば光穴を洗浄すればもっともっと光り輝く、上質なダイヤが使われているという事…!
つまり、1960年代当時の日本の状況を鑑みると、超高級品であるという事になります。
いかがでしょうか??
めちゃくちゃ汚れが詰まっていますでしょう!!
こんな写真も送って下さいました。
ラグが5cmを超える豪華なケース、こちらからも超高級品である事が伺う事ができます。
こうして私は、光の速さでポチりました。
(つづく)