
1920年製と思われる宝飾時計のケースです。
素材はプラチナ、びっしりとダイヤモンドが散りばめられた豪奢なお品です。
デザインのスタイルはアールデコ、1910年〜1930年にかけて欧米で流行した直線的で幾何学的な様式で、ジュエリーだけでなく建築・家具・ファッションなど様々な分野で見る事ができます。
いつか記録した「アンティーク時計をノーメンテで購入するということは一体どういうことなのか」というエピソードに登場する時計がこちらです。記事を読んでくださった方はご存知かと思いますが、こちらの時計は海外オークションで落札したジャンク時計(壊れて動かない時計)でした。
動かないだけでなく風防はないし、ダイヤモンドも所々ロストしており裏蓋も壊れているという、非常にダメージが大きい品物で…。

然しこちらの内部に積まれたムーブメントは替えを探すのにそこまで難しくないものだった事や、外装の破損を直すのにそこまで大変でない(頼む職人に心当たりがある)ため、頑張って落札してみたという感じです。
替えのムーブメントを海外から取り寄せし、さあ動かして貰おうかな!と思った矢先に「これって時計として使う事に拘らなくても良いのと違うかな?」と思いました。
時計として使うならプラチナか金の無垢ブレスレットも同時代の物を探し出して買わないといけないですし、その無垢ブレスレットを用意するのが毎度毎度お財布に辛いのです。時計本体よりもブレスレットの方が高価になりますからね。

それであれば、この時計の開口部を宝石で塞いで、ロケットペンダントやお香入れのペンダントとして蘇らせるのもアリなのでは?と思いました。
然しそれも、アールデコのデザインを良く理解した上で、この時計ケースのデザインに合わせて開口部を塞ぐデザインを考えなくてはいけません。
時々海外の業者さんが、古い時計のケースにモルガナイトやエメラルドを嵌め込んでペンダントトップにしているのを見かけるのですが、どこかおかしいと感じるものがあります。
例えばこんな風に…。

件のアールデコ時計に、エメラルドのルースをパチッと嵌め込んだ感じの雑コラを作ってみましたが、なんかちょっと違和感がありませんか?
悪く無い気もするけど、別に良くもないみたいな…。
時計のデザインって文字盤が入って素敵になるようにデザインされているので、そこをただ四角い宝石で塞ぐだけだとなんか変に感じるんだと思うんです。
そんなのもあり、私のようなイチ素人がゴチャゴチャやるのは難しいよなーと、モヤモヤ悩んでしまいました。

そんな話をアンティーク時計同好会の友人に相談しましたら、
「もう100歳なんだから、働かせないでくれ〜!って感じだと思うよ、私ならペンダントにするな〜。」
そうだよね、人より長く生きてるんだから付喪神的なこともあり得るでしょう…。
もう腕時計としてではなく、新しくジュエリーとして生まれ変わる事を望んでいるかもしれません。
(続く)