先日の記事の続きです。
友人より着物の素晴らしさを伝授された私ですが、実はちょいちょい着物沼への御招待がありまして…(笑)
それなのに私が着物に近づけない理由がありました。
「あなたが着れる着物はここにはありません。」
それが、私が過去に経験したモヤ〜な思い出であり、着物は着る物ではなく「見て妄想するもの」となった出来事でした。
標準より身体がデカい
私の身長は168cm、体重も標準より重いです。
子どもの頃は、この体型ってかなり珍しいものでした。
小学校5年生で165cmはありましたから、ランドセルを背負っていても、バスで大人料金を徴収されそうになります。
ショッピングモールに入っている呉服屋さんにて
そんな私が成人する時、着物が好きな祖母が振り袖を買ってくれると言いました。
当時アンティーク着物に興味があった私は、喜んで祖母について行きました。
訪れた呉服屋さんは、地元に根付いた老舗呉服店という事でした。
展示された着物はどれも美しくて、すべすべとしていて、こんなに美しい物を着れるのは幸せな事だなと思いました。
その中でも、鮮やかな色とりどりの振り袖は、飛び切り目を引く華やかさです。
好きな物は着れない??
然し、私が気に入ったものは着る事ができませんでした。
あれは確か、仕立て上がった振り袖だったからなのかなぁ。
アンティーク着物にあるような少し古いタイプの図案で、凄く華やかな着物でした。
この時って今より痩せていて体重は標準だったのだけど、標準より腕が長い事と、肋骨に厚みがある事(鳩胸)で、出来合いの着物だと私の体には小さかったのです。
となると、私の身体のサイズにぴったり合うようにオーダーメイドで作って貰う感じになるのですが、それだと価格がとんでもない事になるとの事でした。
お相撲さんのように反物を特注するしかない
この時、お客様の手の長さにちゃんと合う着物を作るなら、お相撲さんが着物を仕立てる時のような作り方をするしかないですね、と言われました。
「私の体格だとお相撲さんと同じなのか…フルオーダーどころか反物からオーダーしなければいけないのか…。」
そのように思い、とても恥ずかしい気持ちになりました。
お店の方はただ事実を述べられただけなのですが、私はこの場に居てはいけないような、私そのものがみっともないような、そんな恥ずかしさです。
それを見ていた祖母は、もっと痩せていたら着れたのに、もっと小柄だったら良いのになど、イヤ〜な気持ちに盛大に拍車をかけて来ます。
お店の方も祖母も、ただありのままの事実を述べただけ、なのに若かった私はしっかりと傷ついてしまいました。
結果的に、少し裄(袖)の長さが短いような振袖を購入しました。
選べるデザインには数がなくって、気にいるものがなかったのですが、最後に出してもらった黒の総絞りに金色の花の刺繍が入った物に決めました。
真っ赤とか紫みたいな派手で可愛い物が良かったんだけど、まっ黒の総絞りは格好いいし他と被らないから良いか…みたいな感じです。
実際に着てみると凄く厳つくて、私に良く似合っておりました。
当時のリサイクル着物店
同じ時期の話で、リサイクル着物店での思い出もあります。
祖母の小紋や振り袖は寸足らずではありますが、ちょこちょこ着せて貰いお出かけしておりました。
そんな時に、リサイクル着物であれば、何万円もせずに良い物を買えると知ります。
ウキウキとしながらお店に入りますと、私を一目見て、お店の方が怪訝な表情を浮かべました。
あれ?って思いつつ、色々見せて頂こうとすると、何だかとても、私には着物を見せたくなさそうでした。
それは言葉に発する事はなかったけれど、態度と表情から「あなたに着れる着物はここにはありません」と表現しているようでした。
そうなのです、この時代のリサイクル着物というのは昭和のおばあちゃん達が若い頃に着ていた物が殆どなので、小柄な方しか着る事ができないという事です。
私の祖母も昭和のおばあちゃんだけれど、身長が160cmはありましたから、祖母の着物は着れたんですよね。
そしてこの時は今より着物のルールが厳しくって、短い着物をおはしょりなしで着る事や、裄がツンツルテンで着るなんてとんでもない!みたいな風潮がありましたから、余計に店員さんは冷たかったのだと思います。
この時も、気になる着物は全て小さくって、これなら着れるかもしれませんよ?と出してくださったのは、ポリエステルの新品の浴衣でした。
当時のポリエステルの浴衣や着物って、見た目がとても偽物っぽくて、これしか着れないんだぁ…とガッカリしてしまいました。
コンプレックスが刺激される
このように、私が着物と関わると、どうしてもコンプレックスが刺激されてしまう為、着物に近づく事をやめてしまいました。
洋服なら、入るか入らないかでしかないけど、着物だと身体のパーツ一つ一つのコンプレックスが刺激されます。
というか洋服だって殆どのものが七分袖になりますし、今私が愛用しているユニクロのダウンジャケットだって七分袖です(笑)
でも着物は、裄が足りないまま着たらみっともないと言われたりもします。
私の身体は着物を着るには相応しくない、私は着物を着たらみっともないんだと言う自覚がありました。
着物への認識が変わる
あれから20年程の時が流れ…着物を趣味にしている友人に誘われました。
リエコさんも着物を着て遊びに行きましょうよ、と。
でも私は上記に書いた通りの強いコンプレックスがあり、気軽にお誘いを受ける事はできませんでした。
ただ、着物を見てコーデを妄想する事は好きだったので、見に行くだけなら行こうかな〜と言う感じで友人のお買い物について行きました。
私に着れる着物がないとわかれば、きっと友人も諦めてくれるだろうと思ったのもあります(笑)
すると、訪問したお店の反応は、私の予想とは真逆の物でした。
お店のお姉さん達は、裄が短くても問題ない、おはしょりを作らなくても問題ない、数は多くないけれど大きなサイズの着物もありますよと仰り、あれよあれよとあっという間に私に着物を着せて下さいました。
今は20年前とは違い、着物を洋服みたいに自由に着て大丈夫なようなのです。
その時のお話↓
今の若い子達は私のように身長が高い子もたくさんおられますが、アンティーク着物が人気との事でした。
アンティークとなると戦前の着物ですから、当然物凄く小さい筈です。
でもその年代の柄や色はとびきり素敵ですから、とても人気があり、皆さん工夫して、半ば無理矢理着るのが普通と…!
洋服と組み合わせて着たりするのも普通らしくて、それなら私が着物を着ても恥ずかしくないかもしれないと思いました。
若い子だけの風潮では?
こんな風にも思いました。
これって若い店員さんがいるような若い子向けのお店だけの風潮で、私のような中年はちゃんと着てないとみっともないのでは?と。
そこで色々と調べて行くうちに辿り着いたのは、こちらのお店です。

私の愛読書であったKIMONO姫にも載っていた池田さん、こちらのオーナーさんがマツコの知らない世界に出られた際の一幕です。
「今の若い方に『着物着てみたい?』と伺うと、けっこう「着てみたい」と答える人が多いんですね。けれどそのわりに、実際に着た人っていうのはわずか。どうしてなんだろうって。」
池田さんによると、着物を着崩したり自由に着ていると、着物警察のようなオバ様に指摘されてしまうそうです。
でもそんな着物警察を恐れないで、自由に着物を着てもっと楽しんで欲しいとの事でした。
私も着物警察という存在を恐れていた部分はありましたし、何なら祖母が着物の着方にうるさいところもありましたから、池田さんのような方がこのように発信してくださる事はとても心強いと思いました。
そもそも着物警察が湧いたのはごく最近の話
着物の歴史を紐解いて行くと、着物警察が指摘して来るようなルールができたのは最近の話だそうです。
戦前はもっと自由に着ていたと言うか、庶民にとっての着物は普段着でした。
庶民は一年中木綿の着物で、寒かったら裏地を縫い付け、もっと寒かったら着物を2枚重ねて着ていたりで、気候や生活スタイルに合わせて自由にしていたそうです。
なお、裄に関しては短い方が動きやすく、裄が短い着物を着る事は働き者の妻アピールになったとの事です。
裄が短くても構わないなら、私にとって選択肢が広がります^^
その他にも、今は帯を隠すために羽織を着て街を歩かないといけないと言われますが、羽織りというのは男性だけの正装であり、女性が着るようになったのは割と最近の事らしいです。
日本に西洋文化が入って来て、色々な繊維が庶民の手に届くようになると、寒くなって着物に裏地を縫い付けるよりも、着物の中にセーターを着る方が暖かいし手軽、と言う事になります。
こんな感じで、着物の文化をきちんと見て行くと、時代の移り変わりで結構変化が大きいみたいでした。
明治・大正・昭和初期と、戦後にできたルールはだいぶ違いますし、どっちが正しいとかではなく、どっちも正解であり、つまりもっと自由に楽しんだら良いと思いました。
粋であれば良い
つまり粋であれば良いって事なのでしょうね。
お洒落で着てるならなんでも良い、ルールなんて言うのは特にないのでしょう。
自分が楽しく快適に着たら良いのだ、そのように思いました。
フォーマルな場に着ていく着物にはルールがある
これは洋服であっても同じですよね。
フォーマルな場には相応しくない着物や、着方があります。
でもでも、着物を普段から着ている先輩達によると、フォーマルな場に着てくのは、洋服より着物の方が簡単なんだそうです。
お洋服は年齢や着る人の雰囲気で安っぽくなったりしますし選択肢が多くて選ぶのが難しいけれど、着物は着て仕舞えばサマになるので選ぶのが簡単との事です。
確かに、フォーマル用の着物であってもリサイクル着物であればそんなに高価ではないし、素材は絹ですからね。
何を選んでも安っぽく見える事もないし、着物ってだけでちゃんとしている感じになります。
身体が大きい方が良い面もある??
ここ最近の出来事なのですが、ベテランの店員さんがいらっしゃるリサイクル着物店で、ある事を言われました。
「お客様は身長があるから、大きな柄や派手な色を着こなす事ができて良いですね。」
「身幅があるから、着物の柄が隠れずに華やかで良いですね。」
この時私は、接客業だし何とか頑張って褒めてくださってるんだな…と申し訳ない気持ちになりました。
然し、そんな気持ちがひっくり返るような経験をします。
ある日リサイクル着物店で帯をお腹に当てて鏡で見ていると、それを見ていた女性グループのお客さん(私の母世代の方)に、代わる代わる同じような事を言われました。
「良いわね〜!凄く似合うわよ!」
「こんな派手で大きな柄は、似合う人は少ないのよ〜!」
「私みたいに小柄だとこういうのは似合わないから羨ましいわ!」
お腹に当てていたのは、鮮やかな配色で大きな葡萄があしらわれた、どこか竹久夢二の作風を感じるような名古屋帯でした。
お店の店員さんではなく、お客さんから言われた事なので、ああこれはお世辞とかではないんだなと解りました。
身体が大きいからこそ着こなせる着物もあるんだ、と初めて思えた出来事でした。
って事で着物を買った!
そんな感じで、ちょいちょい着物を購入してみております。
まだ着付けもできないのにお買い物をしているのですが、本当に私が着れる着物の中に気にいる物があるのかしら?と疑っているので、ある程度先に着物を買っちゃおうかなという感じです。
着付けをマスターしてから、欲しい着物がないと言うんじゃまた残念ですからね。
実店舗やインターネット、色々と見ておりますが、やっぱり私のサイズはほぼありません。
お店に一着あれば良い方で、それが好みかはまた別の話…。
でも少しずつ、好みに合う着物をお迎えできています。
初めてのお買い物は葉月さんで
私が初めて着物を購入したのは、前回の記事で訪問させて頂いた、キモノ葉月さんです。
私のサイズは殆どありませんでしたが、唯一着ることが出来た梅の小紋が中々似合っておりまして、洗える着物だった事もありお迎えをして来ました。
合わせる帯は、葉月さんオリジナルの大人用の兵児帯にしました。
兵児帯の方が普通の帯より扱い易いので、初心者のうちは良いかなと思ったのです^^
葉月さんオリジナルの兵児帯はお店のスタッフさんの手作りとの事、オンラインでも購入できるみたいなので、リンクを貼っておきますね。
左から三番目のものが、兵児帯です↓

本日は、着物に対して強い苦手意識があったお話と、現代の着物に対する価値観がだいぶ変わって面白くなってきた!みたいなお話でした。
私より若い世代のお嬢さん達は骨格からして違う、すらっと長身の方も多いですよね。
そして今の夏は暑すぎるし、昔のルールを当てはめて着物を着たら熱中症になっちゃいます。
ですから、昔の日本人のように、柔軟な気持ちで着物を普段着として楽しむのが良いですね。
この記事が、着物に興味があったけど諦めていた皆様に、何かのヒントになれば嬉しいです^^
(おしまい)