日本で一番宝石が売れるのは12月と1月と聞きます。
それは宝石業界だけではなく時計業界もそうで、所謂クリスマスの飾り付けとお正月の飾り付けをするシーズンは通常とは大きく異なる、異常なまでの熱量の支度をして望みます。
それは何故かというと、この業界の殆どの店が一年の売り上げの多くをこの時期に稼ぎ出す為、ここでどう踏ん張れたかが店の存続を左右する鍵となると言っても過言ではないからなのです。
20代の頃、凄く時計が好きな時期があり、全国的に展開する時計のセレクトショップでアルバイトをしておりました。
その時計店でも矢張り年末の雰囲気は同じで、11月から12月にかけての異常な仕事量を経て、体力はもう1%も残っていないよ!という12月31日…翌日には目がギンギンのまま仕切り直しかのように華々しく始まる1月1日…。
お正月の清々しいキンとした空気と共に始まる初売りは、さも当たり前のようにエネルギー100%で(実際にはエネルギー0なのに!)挑みます。おめでたい笑顔で挑みます。
このように…キラキラとした楽しい季節の裏側ではもの凄く過酷なことをしているのだな…と…可成り驚いたことを良く覚えております
この業界が年末年始の準備を始めるのは凡そ10月です。
ここで決めていく、何を取り揃えるか、何をどう売っていくかの作戦によっては、店の年間の売り上げに大きな影を落とすこともありますし、奇跡のような売り上げを取ることができる、とても大切な時期なのです。
店内の至る所に転がしてある不気味なカボチャを綺麗さっぱりに取り除き、クリスマス色溢れるドリーミーな商品や飾り付けが増えていく…そして人員の確保(アルバイトの子にも気持ちの覚悟をさせるw)を始めるのが11月…!
11月半ばからは、どんどん商品を売って行かなければならない、全てのスタッフに重いプレッシャーがかかってきます。
風邪で休んではならない、しんどくてもホスピタリティーを忘れず笑顔で、そして必ず個人目標は達成しなければならないというプレッシャーです。
私が居たお店では、アルバイトでも社員さんと同じほどの売り上げ目標がありました。
否、寧ろアルバイトの売り上げ目標は社員さんのそれより高いくらいで、アルバイトは仕入れや商品管理、シフト管理などの雑務が少ない分、店頭で活躍し売り捌かなければ店舗としての全体の売り上げ目標が達成できないのです。
ですから、基本的にはアルバイトは比較的安価な時計を短時間で沢山の数を売っていかないとダメなのですが…。
お店があった場所が丸の内、Gショックからアンティーク時計まで様々扱うタイプのショップだった事から、中々思うようには行きませんでした。
当然私はアンティーク時計や時計メーカーの現行品にしか興味がない為、その他の時計の販売は得意とは言えず…。
自分にご褒美に…などとお聞きしてしまうと、売り易く当たり障りのない時計ではなく、その方が本当に気に入ってくださる時計を一緒に探したくなってしまうものでした。
即ち、矢鱈接客に時間がかかる事を叱られてれてばかりの毎日になると言う事です(汗)
そもそもアンティーク時計が好きなお客さんってお喋りなおじ様が多いし、アンティーク時計入門っみたいなお客様には沢山の説明が必要…。
時計メーカーの時計はデザイン以外にも沢山の要素があり、機能面だけの説明でも短時間では足りなくて、エイッとは販売できないんですよね。
あなたね、いつもはそれで良いんだけど、クリスマスシーズンはもっと巻いて!あなたできるでしょ!!ってね。
当時の店長は女性だったのですが、私のようなトロいダメ店員に根気よく愛情をこめて指導して下さいました。
彼女にプレゼント、や奥様にプレゼントの場合なら、ある程度あっさりした接客がちょうどいいのですよ。
でもね、男性がご自身用に購入する際や、女性が男性に贈る際などは、あまり後悔して欲しくないなぁとも、良い記念になるように大切なポイントはきちんとお伝えしたいと思ったりしちゃって…。(女性がご自身用に購入する際はそんなにはサポートは必要ないのですよ。わかりますよね。)
なかなかみんなと同じだけの所要時間で良い接客する事ができないダメなスタッフでありました。
お仕事なのですから、綺麗事だけではダメなのです、ホントに。これはマジで。
お客様の満足度にもきちんとお応えできて且つ、お店的にも安全な戦略で進めて行けるのがプロなのです。どちらかがおそろかになるのはダメなのですよ!
それはともかく…。
この時は個人の売り上げ目標は余裕で達成でき、店舗としても会社からご褒美が出る(売り上げが上位に収まるとアルバイトにもボーナスが!)ところまで行けたので、私のアルバイトとしての評価は大事に至らずに済みました。
然し私には、やっぱりこの仕事は向いていないなーと、その後は普通の事務に転職しております。
だって私は年末はおうちでM-1グランプリを正座して大真面目に観たいし、浮かれて飲み会行きまくって体調崩したりしたい…!!
それにお正月は荘厳な気持ちで御神籤を引きたいし、競馬場にも行って運試しをしたいし…!!
ダメすぎる理由でありますね!!!
毎年、クリスマスの買い物は余裕を持って始めている理由はここにあるのでございます。
この季節は、店舗もてんやわんや、即ちメーカーもてんやわんや、職人もてんやわんやであるはずなのです。それは間違いないと思って良いのです。
忙しくて寝食もまともではない時、どんな人間も通常は絶対やらないミスを発生させることがあります。
働いていたから分かるのですが、この季節のミスはかなり厳重に注意されます(みんないっぱいいっぱいだからカバーできないし!)し、そもそもこの季節はミスは許されないからしてはならないと予め強い指導が入ります。
それでもミスは発生します。
いつも隙のない優秀な社員さんでさえあります。
普通は起きないようなトラブルや、普通はやらないミスを発生させてしまうのは、完璧には防ぎようがないのです。
そういう事情も踏まえて私の場合は、早めに準備してクリスマス前に宝物を受け取るか、
クリスマス前に決められなかったのなら、もう2月頃に受け取りできればいいやとのんびり構えるか、最近はそんなパターンにしております。
どうしてもこの季節に誂えないといけない方もいらっしゃいますからね(贈り物なんかはね…)、そういう事情がない私は、そういうご事情がおありの方に枠をお譲りする方が宜しいかと!
って事はそうなんですよねー、年末のお買い物についてはそろそろ明確な意思を持って動き出す必要があるのです。
とは言え、引っ越しや空き家の修繕等も年内にお仕舞いにしたいので、ぼちぼち…ですね。
(やっと家が決まりました!)
あっ、でもお買い物は絶対後回しにはしませんよ!
なんなら最優先でGO!
(おしまい)