リエコの手帳

趣味と暮らしの覚え書き( ◠‿◠ )

街ゆく人の素敵な宝石5

ある宝石商は、毎年インドへ買い付けに出かけると言う。

「なぁ、おねえさんは宝石の占星術って知ってるかァ?」

そう言うと、自身の指に嵌めていた翡翠のようなエメラルドの指輪を外し、ゆっくりと回転するように見せてきた。

「これがな、自分の石ちゅうことやねん。普通の指環とは違ってな、この指輪は肌に石が触れるように作ってあるんやわ。」

ほう…と見詰めると、確かに石のお尻部分が肌に触れるように露出している。

どうやら宝石の占星術というのは、インド人の多くが信仰しているもので、生まれた時間や位置から自分の星を算出し、そのデータに基づいて自分の石というのを調べるらしい。

こうして分かった自分の石を身につけたらどうなるかと言うと、

「悪いもんが無くなる、みたいな話や。」

と、ちょっとよく分からなかったので調べてみると、自分の石を肌に触れるように毎日身につけると、自分のカルマが無くなるという事らしい。

「へえ、そんなもんがあるんですか。面白いですね。」

「あんたもネットで調べたらいいわ。なんか無料で調べられるってインド人が言ってたで。」

しかし、その無料サイトは全てインドの言葉であり、調べることはできなかった。

ただ、はっきりと憶えているのは、翡翠みたいなエメラルドは真四角にカットされていた事である。

その真四角なエメラルドを包むのは、たっぷりとした18金で、その大きな無骨な手にとても似合っていた。

私はこの頃から、牡牛座の星座石であるエメラルドを大切にしている。

それはインド占星術ではなく、西洋の占星術だったと思うが、兎に角牡牛座にはエメラルドが良いとの事だ。

宝石を身につける時に「素敵な事が起きる」という気持ちで身につけることは、心理面でもとても良いものだと思う。

それは、日々繰り返していく毎日に、ほんの少し特別な感覚を与えてくれるようだ。

そうだ!

夫も牡牛座なので、夫のぶんも私がエメラルドを持たなくてはなるまい。

 

(おしまい)