リエコの手帳

趣味と暮らしの覚え書き( ◠‿◠ )

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青く光る蝶

夕暮れ時の商店街は、忙しそうに歩く人々で混雑していた。 人の波をゆっくりと潜り抜けると大通りに差し掛かる。 信号待ちをしようと目を伏せると、美しい蝶が目に飛び込んで来た。 大きく羽を広げた青色の蝶が、歩道の真ん中で動けなくなっていた。 私は、…

街ゆく人の素敵な宝石 6

飯屋の行列に並んでいた。 ここはテレビや雑誌にも紹介される店であるが、地域密着型の飯屋という側面もあり、休日はえらく混む。 漸く席に案内されるというその瞬間、ふと振り返って視線を落とすと、後ろに並んでいた女性の手元がきらりと光った。 それは一…

街ゆく人の素敵な宝石5

ある宝石商は、毎年インドへ買い付けに出かけると言う。 「なぁ、おねえさんは宝石の占星術って知ってるかァ?」 そう言うと、自身の指に嵌めていた翡翠のようなエメラルドの指輪を外し、ゆっくりと回転するように見せてきた。 「これがな、自分の石ちゅうこ…

街ゆく人の素敵な宝石4

バスの車内は酷く混雑していた。 私はドカドカと車内に乗り込み、慌てて傘を畳むと、優先席の上部にさがる吊り革につかまった。 私の前には、二人の小柄なおばあちゃまが横並びに座っていた。 その二人は知り合いなのか…いや会話をしているからと言っても知…

街ゆく人の素敵な宝石3

昼下がりの事だった。 大船駅から乗った東海道は、平日にも関わらず空席が少なかった。 男女が向かい合わせに座っているところの隣の席を選んだ。 その時、何故そうなったのか全く思い出せないのだが、その男女と会話をする事となる。 自分達はもうリタイア…

街ゆく人の素敵な宝石2

あれは土曜日の昼頃のことだったと思う。 東海道の車内は混雑していて、やっと座れたのは品川を出た時だった。 向かい合わせになっている席に身体を押し込むと、目の前には小柄な女性が座っていた。年齢は私の母より少し上か同じくらいに見えた。 髪は小さく…

街ゆく人の素敵な宝石

午後15時。木曜日。 東京近郊の街、その駅周辺にある欧風の喫茶店。ぼんやりと座っていた私の前に、小さなお婆さんの姿が現れた。ゆっくりと歩む姿は、ひじょうに凛としていて、きりりとした黒い眉をすこし長めにひいている。 私が小さな頃恐れていた、算盤…

マロンクリームの憂鬱。

あれは確か、小学校二年生の春の出来事だったと記憶している。 私たち女子児童の間で、サンリオのマロンクリームというキャラクターが流行った。 なんかマイメロディやキキララよりも一層お姉さんなイメージで、マロンクリームのアイテムを持っている子は少…

産まれた時に配られるラッキーカードの話。

人は産まれる時に、あるカードが配られる。 それは、両親の気持ちが安定しているカードだとか、何不自由なく物が与えられるカードだとか、異性にモテるカードだとか、運動神経がよいカードだとか… このカードの枚数については、極端に多い人もいれば極端に少…

メメント・モリ

先日祖母が、こう言った。 「もう貯金は辞めだ、お金は使って仕舞おう。」 私と二人きりで居る際の発言だが、厳密にいうと、大病をして声帯を失った祖母が筆談でそう伝えてきたという情景だ。 私の祖母は、お金を使ったりお金を貯めたり、なんならお金を稼ぐ…

師の記憶。

私が過ごした時間の中に、記憶に強く残る師がほんの何人か居た。 居た、というのは、今そのどなたともお付き合いの糸が途切れてしまって居る為だ。 出不精がわざわいしている。 学校に行く事が嫌いな子どもだった。もちろん幼稚園に行く事も嫌いであったし、…

見えているものが全てではないのかも知れない。

インターネットでの交流が盛んな昨今、コロナ禍の影響を大きく受け、急速な成長を見せている。 我が夫も殆ど出社する事なく仕事をしており、満員電車に押し込められるような事が当たり前だった常識は一体なんだったのかと感じる様な事が増えた。 私はあまり…

婚約指輪の是非に関する考察

令和三年一月。 様々な事がひと昔前より多様化してきており、今まで常識だと考えられていた事や実現不可能だと考えられていた事が、もしかしたら個人の匙加減でどうにでもなって終う事だったのかも知れないと、いちいち疑わしく思う事が増えた。 それは、社…