美しきエルジンのダイヤ時計です。
ケースもブレスレットも14金ホワイトゴールド、ダイヤモンドが散りばめられた姿がなんとも美しい、1950年代のお品と思われる腕時計です。
この時計が、私にとって初めての金無垢のダイヤ時計となりました。
この手の時計を良いなぁと思ったのは20年も前の事、前回の記事で手放した、あのロレックスを手に入れた時まで遡ります。
前回の記事→ さようなら、思い出のロレックスよ。 - リエコの手帳
あの時、ステンレスのロレックスにするのか、金無垢のダイヤ時計にするのか散々迷って、6万円ほど安かったロレックスにしたのでした。
でも本当は、金無垢のダイヤ時計が凄く欲しかったんだと思います。
それなのに、まだ若かった私は、あと6万円を貯める事が出来なかった…待てなかったのですね。
ジュエリーの趣味を深く楽しむようになってから、何かの拍子に思い出すのは腕時計の事でした。
ですが、ステンレスアレルギーにより、殆どの時計は選択肢から外さなければなりません。
カルティエのダイヤ時計を見ては良いなぁと思い、でもステンレスだからつけられないなぁと呟き、ホワイトゴールドタイプのダイヤ時計を見てはこれなら大丈夫だなぁと思い、価格を見て眩暈がしました。
カルティエのホワイトゴールドタイプは、中古でも手が届かないんですよ。
チタンの時計であれば選択肢に入るのだけど、チタンってそもそも殆ど作られてないんですよね。
あっても格が高いものだとグランドセイコーとか…。
グランドセイコーはジュエリー的な時計はなく、時計らしいデザインのお品ばかりです。
↓こちらの時計を試着した事があります。全然似合わないの!
それにグランドセイコーのチタンモデルでダイヤ付きは非常〜に高価です。
なんならアンティークの金無垢ダイヤ時計より高価なんです。
え??
チタンの時計がアンティークの金無垢ダイヤ時計より高価なら、もうアンティークの金無垢ダイヤ時計で良いのでは??
そう結論が出たのが昨年の初夏でした。
こうして私は、見に行ける範囲のアンティーク時計専門店は全て訪問してみました。
意外とアンティーク時計専門店って沢山あるのですが、女性用の時計を沢山扱っているお店は少ないんです。
そして沢山の時計を見て気付いてしまいます、アンティークの金無垢ダイヤ時計は腕周りのサイズが小さいという事を…。
そりゃそうなんですよね、大体が1940年〜1970年製の時計ですから、当時の華奢な女性の手首に合わせて作られていたり、持ち主が変わるたびにサイズが短くなってしまったりという事情があるようでした。
ですから、沢山のお店を回り20本試着したとしても、私の手首にピッタリな時計は一本あるかないか…という感じでした。
サイズが小さい時計でも、彫金のアプローチをして、ブレスレットにハシゴをかけたりブレスレットのコマを複製する事で長さを出す事はできるのですが、工賃がとっても高いです。
そもそもの時計の価格が高価なのに長さ出しの費用まで加味したら、大きな一粒ダイヤモンドが買えちゃうなぁ…
このように思い、自分のサイズで、自分の好みにピッタリなデザインに出会う難しさという壁に阻まれておりました。
金無垢ブレスレットタイプではなく、黒紐タイプならサイズはあるんですが、留め具と丸輪が金無垢でないとアレルギーが出てしまう、だけどあのちっちゃなパーツが金無垢のバージョンってあまり見かけないんですよね。
これは時間をかけて見つけていくしかないと覚悟を…覚悟をしかけた時に閃きました。
もっと視野を拡げることを…!
アンティーク時計専門店で、金無垢ダイヤ時計&金無垢ブレスレットのタイプを購入する場合、今年の相場だと30万円〜50万円くらいになります。
(人気メーカーや、高価な素材の時計だと60万円〜130万円くらいのお品もあります)
専門店で購入した時計の長さ出し費用が、例えば10万円くらいでできるとしたら、合計40万円〜60万円くらいと考えられますが、もしかしたらもっと費用がかかるかもしれません。
それであれば、最初から手首サイズに合う時計を買うために、フリマサイトやオークションも視野に入れる事にしようと思いつきました。
フリマサイトやオークションで売られている時計は、個人の方が出品されていたり、業者が出品していたりと様々ですが、どちらのケースもメリットは専門店よりも価格が安い事です。
しかしデメリットは、ノーメンテであるため機械のコンディションが物凄く悪く、修理に沢山の費用がかかったり、はたまた部品が無く修理が出来ないリスクがあるという事です。
アンティーク時計を入手するなら、きちんとしたアフターフォローが可能な専門店で買いましょう、それがセオリーと言われているのは、このような見過ごせないデメリットがある為です。
ですが、よく考えてみると、私にとってはそこまでリスクとして高くはないのでは?と閃きました。
時計を購入する費用が安ければ、修理代金が非常に高価であっても、専門店で購入し長さ出しをした場合より総額は安いのではないか?と思ったのです。
また、部品がなく修理ができないリスクで言えば、日本中の時計技師を訪ねる勇気と気力があれば何とかなるのではないかと…^^
仮に何とかならなくても…時計が動かなくても愛せるような、ブレスレットとしての機能しか残らなくても美しいと思えるものを選ぼうと、そう決心する事ができました。
こうして出会ったのがこちらの時計、エルジンのアンティーク時計でした。
アレルギーが出ないダイヤ時計であればブランドは問わずでしたから、サイズが合うものを条件に広く探しました。
購入先はアンティーク時計専門店ではなく個人の方、勿論OHはされておらず保証もなし、今のところは順調に動いていますが近いうちに整備に出そうと考えております。
長く愛するためには、内部の部品が摩耗する前に油を入れ直してあげなくては…!
手間がかかるぶん愛おしい、現行品の時計に抱く愛情とは全く別物の深ーい愛情、そんな不思議な感覚に心を揺さぶられております。
ケースの周りをぐるりと取り巻いたダイヤモンド、そしてブレスレットには花の彫刻…。
これぞ私が思い描いていたアンティークのダイヤ時計、ダイヤが沢山散りばめられているけれど派手すぎないところも大変気に入っております。
実はこちら、珍しく購入を迷って踏み切れずにいましたら、母が誕生日プレゼントにと贈ってくれました。
存在感が強いのに派手すぎないのも、なんだか母の人柄とリンクして…良いなぁと思っているんですよ^^
そうそう!
こういう時計をカクテルウォッチと言いますが、カクテルパーティーに着けて行く豪華な時計を指すようで、明確な定義はないみたいです。
カクテルパーティーで女性がお酒を飲むようになった経緯はこちらの動画↓がわかりやすいですよ。
【衝撃】アメリカ、禁酒法時代に転生してはいけない - YouTube
わたし、まりんぬさんの動画が好きで、全部見ております^^
きっと私がこの時代に生きていたら、隠れてしこたまお酒を飲んでいたんだろうなぁ。
ステッキの中にお酒が入ってるなんて…良いな…。
こうして私のアンティーク時計の長い旅が始まりを迎えました。
美しい時計を愛でる幸福な時間と、その時計を摩耗させないための対策としてもう一本…もう二本…。
グレムリンのように増え続ける、美しくて可愛い時計たちとの険しくも楽しい旅路…。
アンティーク時計との暮らしは、驚きと喜びと発見と、愛に満ちたものでありました。
うーむ!!
アンティークのダイヤ時計はいいぞ!!!!
(おしまい)