リリベット…
それはエリザベス二世の幼少期の愛称…
まだ幼かったエリザベスが自身の名を口にしたところ、リリベットと聞こえた事からこう呼ばれるようになったそうです。
私はこの真珠の首飾りを、愛を込めてリリベットの首飾りと呼んでいます。
リリベットの首飾り、それは真珠の三連の首飾りです。
可憐な真珠が三列に並び、その美しい輝きは滑らかな曲線を描いています。
首にかけると、デコルテに沿うようにゆったりと光の珠が落ちるのです。
真珠の一粒一粒が、上質なシルクサテンのような照りを持ち、それでいてほんの少しメタリックであるかのような表情も持ち合わせています。
留め具は14金、柔らかな金色が真珠の雰囲気と調和し、光を受けると静かに輝きます。
そんな美しい首飾りを、私は愛してやまないのです。
エリザベス二世と真珠の首飾り
エリザベス二世は生前、三連の真珠の首飾りを頻繁に身につけていました。
豪華な宝石を纏うような式典の際も、宮殿内でお仕事をされる際も、オフの際の普段着にも、様々なシーンで同じデザインの首飾りを着用されております。
そして、その首飾りはクラスプ(留め具)を確認する限り、少なくとも三種類あるようです。
一つ目は、1935年のシルバージュビリーを記念してお祖父様(ジョージ5世)がエリザベスへ贈られたお品で、クラスプにルビーが嵌め込まれていると言われています。
この時、エリザベスには三連を、妹のマーガレットには二連を贈られたそうですよ。
二つ目は、彼女が王位についた直後、家宝の真珠から仕立てたお品で、クラスプにはダイヤモンドが散りばめられております。
この首飾りが一番着用率が高いようで、彼女の写真を探すとクラスプが確認できるものに出会えます。
三本目は、カタールからの贈り物で、クラスプには大粒の真珠があしらわれております。
このように、エリザベス二世は、真珠の三連の首飾りを複数所有されておりました。
エリザベス二世の統治を描いたNetflixのドラマ、ザ・クラウンでも着用シーンが多数描かれています。
というか、エリザベスが登場する昼間のシーンは、殆どこの首飾りをしているんじゃないかなあ。
デコルテが開いていない洋服の時に、この首飾りをつけているシーンもあるのですが、襟元からチラッと覗く三列の真珠がなかなか良いんです。
見れば見るほど欲しくなる魔法
そんなエリザベス二世の首飾りに私が影響を受けない筈は無く、見れば見るほど欲しくなる魔法にかかりました…。
エリザベス二世が在位していた70年間、彼女はこの首飾りを、自分の肌の一部のように頻繁に身に付けておられました。
真珠の首飾りというものは「長い人生の中で稀に訪れるセレモニーの時だけ大切に身に付けて、あとは大事に仕舞って置くもの」という、アコヤ真珠の取り扱いに関するセオリーが頭にあった私には衝撃でした。
私は宝石は使ってこそと思い「望めば日常的に使う事が叶うもの」に限定して蒐集して来た為、時々しか使えない真珠には殆ど興味を示して来なかったんです。
でもどちらかと言えば真珠は好きな方でして、祖母から受け継いだ古いアコヤ真珠なんかは、メンテナンスをして大切にしておりました。
そんな私ですから、真珠の首飾りを毎日のように着用し、肌に触れさせることで真珠がよりまろやかになるなんて聞いたからには、興味が溢れ出て止まらなくなりました。
しかしそれは、天然真珠にのみ該当するセオリーであり、真珠層が薄い養殖真珠では叶えられない事だということも理解しておりました。
「海の養殖真珠は真珠層が薄くてできないけれど、ほぼ100%真珠層である無核の淡水真珠であれば叶えられるのではないか…?」
そのようにして行動を開始したのが、先日の記事に記した通りでございます。
そう、本記事は先日の記事の続編のような内容なんですよ。
↓先日の記事
先日の記事の下の方で、
「購入した真珠をオールノットで首飾りを作りたい!」
という旨を書いていたのですが、ようやっと着手しまして何本か仕立ててみたんです。
オールノットとは、珠と珠の間に一つづつ結び目を入れた技法でして、様々な利点がございます。
現在は超高級店の真珠であってもワイヤー仕立てが主流だそうですが、ワイヤー仕立てより遥かに手間がかかっているオールノットは、ワイヤー仕立てよりも良い面が沢山あるのです。
まず、ワイヤーは折れると切れて珠が弾け飛んでしまいまいますが、オールノットが切れても全ての珠が弾け飛んでしまうことはありません。一つ一つが結び目で固定されているので、飛んだとしても数粒で済むのです。
そして、ワイヤーがステンレスであっても、絶対に錆びないということはありません。錆が出てしまえば、真珠の穴を汚してしまいます。オールノットは糸を使っていますから、錆が出ることはありません。
この点は、汗をかく季節に使用しない&頻繁に使用しないのであれば心配いらないと思うのですが、私は夏も頻繁に使用したいのでオールノット仕立てを採用しました。
一番大きな利点…それは矢張り、美しく揺れ動く首飾りができるという点でしょう。
真珠の首飾りをオールノットで仕立てると、真珠の珠が滑らかな動きをするようになり、首にかけると、人間の体の曲線に沿って揺れ動きます。
これは比べてみると歴然で、私は断然オールノットの首飾りが美しいと思います。
私はこの動画を見てオールノットを気合いで習得しました^^
難しくなかったと言うと嘘になりますが、手芸が好きな方であれば一般的な真珠の首飾りは仕上げられると思いました。
ただ、三連のや五連、小粒のロングは超難しいです。
同じ工程を繰り返すだけなのになぜ難しいのかというと、一般的な首飾りを仕立てる時と比べ、
数倍糸が絡まりやすいという事なのです。
と言うのもオールノットに使う業務用の糸は、切れにくくて一度結んだら解けにくいと言う性質があるんです。
ですから、一度絡まったら解くのが大変だし、一度結び目が出来たら基本解くことは不可能で一からやり直しになります。
↓こんなふうになる!
あと、多連になると手が滑って珠を床にぶちまけちゃったり、
そのせいで珠の入れ忘れが見つかり一からやり直しになったり、
端っこの珠が小さくて穴に針が通らないから無理矢理通して糸がおかしくなってしまったりと、そう言うのもありました(涙)
でもでも、落ち着いて集中して一個一個確実に進め、万が一やらかしたら菩薩のような涼しい顔してやり直したらいつかは完成しますので…(大爆笑)
是非チャレンジしてみてください!
私が用意したもの
以下は私が必要に思い用意したものです。
オールノットに挑戦したい方の為に記しておきますね。
ビーズ針
こちらは手芸屋さんにも売っていました。
極細ビーズ針
針というよりワイヤー?ですね。
小さい真珠を扱う時にはこれが必要なんだけど、一般的なアコヤ真珠のサイズなら、普通のビーズ針だけで事足りると思います。
こうして完成したのがこちら、リリベットの首飾りです!
てんやわんやして完成しましたが、まあまあ良い感じではないでしょうか^^
オールノットは、揺れ動く光の粒がたまらなく綺麗…。
真珠の色味がコクのあるクリーム系なのですが、このデザインにするとアンティークの真珠の首飾りみたいな雰囲気でとっても素敵です。
この写真だけみると、存在感がどでかいのかなって思うんですが、首につけてみると意外と可憐で上品な感じなんですよ。
こちらの記事で紹介している耳飾りを合わせました。
パーティー行かなアカンねん、みたいにドレッシーな格好でなければつけられない真珠の首飾りではなく、ちょっとした時のお洒落に使えるようなボリュームです。
敢えてエスニックなロングワンピースに合わせましたが、なかなか良い感じでした。
こちらのワンピースはこの商品、今回のセールで色違いを三着購入しました。
余談ですが、このワンピースってフリーサイズなんだけど、本当にフリーで、Mサイズの人も3XLの人も着られる不思議な作りです。
ストンとしたワンピースで、ウエストを紐でしめるタイプなんだけど、それにしてもこんなに幅広い体型の人をカバーできるのは珍しいなと思います。
デコルテの曲線に、真珠の粒が滑らかに落ちている様子がお分かりでしょうか。
この感じが凄く素敵…!
ロングネックレスをオールノットにするのもエレガントで良いんですよ。
ロングはもっと揺れ動きますからね。
でも不器用なの!
っていう方向けにオールノットに仕立ててくれる業者さんを紹介いたします。
こちらは、私のインスタのフォロワさんがリリベットの首飾りと同一のお品を購入されまして、オールノットに仕立て替えをされる際に依頼される予定のショップさんです。(購入してまだ届かないうちからお見積りをとられたとのことです笑)
というのも、リリベットは一番小さい珠が3mmで、他の業者さんだと断られたのだそうです。
その理由が、5mm以下の真珠は不可だったり、三連は捻れてしまうから不可だったり、様々だったようですよ。
私が自分で仕立てた三連のオールノットは、一応捻れてははいません^^
これを仕立ててから別件で職人に会う機会があったため、リリベットの首飾りの出来をチェックして頂いたのですが、オールノットのクォリティは全く問題ないそうでした。ひとまず安心!
リリベットに憧れて、真珠の首飾りを纏う…
その首飾りはタイムレスでクラシック、身に着ける者の心を静かに高揚させる魔法を秘めておりました。
はっとするほど上品…とびきり贅沢…
なのに大袈裟にはならないのは、上品さが成せる技なのでしょうか…^^
そんな首飾りを纏い、お洒落をして出かけましょう。
夏の装いにもぴったりですよ。
梅雨明けが待ち遠しいですね!
(おしまい)